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薬局プレアボイドをわかりやすくご紹介!副作用(重篤な皮膚障害)対応編

●安全性速報が発出された医薬品の重篤な副作用には要注意!

● マンガの解説

てんかん発作に対してラモトリギン錠を前回まで1日10mgで使用していたAさん(10歳代、女性)の小児科の処方が、今回は1日20mgへ増量となっていました。

ラモトリギン錠5mg 1日4錠 1回2錠 1日2回 朝夕食後 42日分

ラモトリギンは使用開始時には漸増していき、維持用量になった後も症状に応じて適宜増減が必要な薬剤です。今回の増量は増量幅や増量間隔、上限量に問題ないことを確認して調剤しました。

増量の約1か月後に、同小児科からアレルギー関連薬が処方されました。

レボセチリジン塩酸塩錠2.5mg 1回1錠 膨疹出現時 4回分
エピナスチン塩酸塩点眼液0.05% 2本  1日2~3回  両目

Aさんのご家族にアレルギー関連薬の処方について話を伺うと、増量後1か月ほど経ってから、目の痒みが出たため市販の目薬を使用したところ、まぶた辺りに湿疹が発現して受診したとのことでした。まぶた辺りの湿疹は市販の目薬による副作用の可能性もありますが、ラモトリギンの増量による影響も考えられました。

患者ご家族に症状を詳しく伺うと、「目の周りの発疹以外に、唇もやや腫れている気がします。」と聴取しました。

ラモトリギンは過去に、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson Syndrome:SJS)や中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、薬剤性過敏症症候群(Drug-induced Hypersensitivity Syndrome:DIHS)の重篤な皮膚障害に関する安全性速報(ブルーレター)が製造販売業者から発出されています。

また、ブルーレターに関連して厚生労働省からは「発疹発現時には早期に皮膚科専門医に相談し、適切な処置を行うこと。また、発疹に加え、発熱、眼充血、口唇・口腔粘膜のびらん、咽頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹等の症状があらわれた場合は、直ちに本剤の投与を中止すること」「重篤な皮膚障害の発現率は、小児において高いことが示されているので、特に注意すること」「患者又は家族に対し、皮膚障害の初期症状があらわれた場合は直ちに受診するよう指導すること」と注意喚起がなされており、電子化された添付文書でも警告として記載されています。

薬剤師はAさんのまぶたの湿疹や唇の腫れはラモトリギンによる重篤な皮膚障害の副作用を疑いました。

湿疹はラモトリギンによる副作用である可能性をAさんとご家族に説明し、医師に副作用の可能性について情報提供を行うことを伝えて、再度受診するように指導しました。

薬剤師「まぶたの湿疹や唇の腫れはラモトリギンによる副作用の可能性があります。私から医師に副作用の可能性についてお知らせしますので、もう一度受診していただけますでしょうか」
Aさんとご家族は直ぐに再度小児科を受診し、ラモトリギン錠は中止され、レベチラセタム錠へ変更になりました。

レベチラセタム錠250mg 1日1錠 1日2回朝夕食後

Aさんご家族「医師に伝えてもらい助かりました」
切り替えや休薬が発生する場合は、効果や副作用の確認に加えて、きちんと服用できるかアドヒアランスの確認のために、服薬フォローアップが必要であると感じました。

※紹介した漫画・薬局プレアボイドは実話に基づき内容を一部変更しております。

●患者さまから信頼される薬剤師になるためのポイント

○緊急安全性情報(イエローレター)や安全性速報(ブルーレター)以外にも、医薬品安全対策情報(DSU: Drug Safety Update)等で重大な副作用の改訂情報等が発出され次第、直ぐに入手できるような体制(PMDAメディナビへの登録等)を整えておくことが薬剤師には求められます。上記の情報を入手した場合には、該当する患者さまへ情報提供や体調の確認を行うことで、医療安全や医薬品の適正使用につなげることが重要です。

○副作用の中には、薬剤の投与を直ちに中止することや、加療が必要になるものがあります。事前に、患者さまへ副作用に関する指導を行うことで早期発見等の予防が期待できます。また、副作用が発現している考えられる場合には、患者さまへ適切な指導を行うとともに医療機関へ情報提供を行うことで、早期に対応し重症化を防ぐことができます。

○有害事象や離脱症状を防ぐために、漸増や漸減が必要な医薬品があります。処方が適切な用法用量であるかを確認するのはもちろんのこと、患者さまが適切に服用できるように指導し、服薬状況や体調変化等の経過を確認することも重要です。

●過去の国家試験問題&対策問題に挑戦しよう!

今回のプレアボイドに関連する過去の国家試験問題やオリジナル対策問題はPDF版でご紹介しています。
ぜひダウンロードのうえ、問題に挑戦して、理解を深めてみてください。
>>「「マンガでわかる薬局プレアボイド(PDF版)」はこちら!

<掲載問題>
■過去の国家試験問題 第104回 問306−307
■国家試験対策問題 (国試109回 問210-211を改変) 

まとめ

アイングループでは、東京大学大学院薬学系研究科・育薬学講座と共同して、薬局プレアボイドを継続的に集積し、教育研修や自己研鑽に活用しています。薬物療法や医薬品の知識に加えて、薬局プレアボイドの実例からも学び、気付きを得ることで、幅広い視点と確かな専門性をもって、薬物療法に貢献していきます。
アイングループのコーポレートウェブサイトでは、今回ご紹介した事例以外の薬局プレアボイドもご紹介しています。
薬局プレアボイドについてさらに知りたい方はぜひご覧ください!
>>「アイングループの薬局プレアボイド」はこちら

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