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薬局プレアボイドをわかりやすくご紹介!

● 抗凝固薬の切り替え、休薬には注意が必要!

● マンガの解説

循環器科を定期受診してワルファリンカリウム錠を服用しているAさん(70歳代・男性)が、処方箋をもって来局しました。処方箋を確認すると、ワルファリンカリウム錠ではなくエドキサバントシル酸塩口腔内崩壊錠60mgが処方されていました。

エドキサバントシル酸塩口腔内崩壊錠60mg 1錠 朝食後 56日分

お話を伺うと、近く泌尿器科で検査があり、処方薬を変更すると医師から説明があったようです。エドキサバンの投与中に手術や侵襲的処置を行う場合、エドキサバンの投与後24時間以上経過した後に行うことが望ましいとされています。Aさんにも、エドキサバンについて検査前日と当日の休薬指示が出ており、休薬に関しては適当だと判断できました。

ワルファリンからエドキサバンへの切り替えでは、ワルファリンの投与を中止した後、PT-INR等が治療域の下限以下になったことを確認した後、可及的速やかに投与を開始することとされています。Aさんは切り替えの際のワルファリンの休薬やエドキサバンの開始時期については医師から指示されていなかったため、薬剤師は医師に確認が必要だと判断しました。

用量についても、エドキサバンは腎機能や体重によって用量調節が必要な薬です。Aさんに腎機能と体重をお伺いしたところ「腎機能は検査結果がeGFR:45 mL/min/1.73㎡で、体重は最近は測ってないけど60kgなんてなったことはないね」と、腎機能が低下しており、体重も60kg未満であることが分かりました。薬剤師はエドキサバンの減量が必要であると判断しました。

切り替えのスケジュールとエドキサバンの用量について医師に確認したところ、検査値を考慮して本日夕食後の分のワルファリンは服用せず、明日朝よりエドキサバンを開始し、エドキサバンの用量は30mgへ減量となりました。

エドキサバントシル酸塩口腔内崩壊錠30mg 1錠 朝食後 56日分

服薬指導時に切り替えスケジュールとエドキサバンの減量についてAさんに説明しました。Aさんから「ワルファリンでもたまにぶつけると内出血ができていたので、量が多すぎると危なかったよね。ありがとう」と感謝の言葉をいただきました。

2週間後に電話で服薬フォローアップを行ったところ、切り替え後も気になる出血傾向はないことと、検査の前日と当日にエドキサバンを休薬することを忘れていたことを聞きとりました。

Aさん「電話をくれて助かったよ」
切り替えや休薬が発生する場合は、効果や副作用の確認に加えて、きちんと服用できるかアドヒアランスの確認のために、服薬フォローアップが必要であると感じました。

※紹介した漫画・薬局プレアボイドは実話に基づき内容を一部変更しております。

●患者さまから信頼される薬剤師になるためのポイント

○患者さまの状態(肝機能、腎機能、年齢、体重等)によって用量を確認することは基本中の基本です。
○医薬品によっては検査や手術、切り替えのため、毎日の服用ではなく特殊な服用スケジュールとなる場合があります。
○患者さまが理解できるような服用スケジュールの説明やお渡し方法の工夫に加えて、きちんと服用できたかの確認や服用できなかった場合の対応も、薬局薬剤師に求められる役割です。

●過去の国家試験問題&対策問題に挑戦しよう!

今回のプレアボイドに関連する過去の国家試験問題やオリジナル対策問題はPDF版でご紹介しています。
ぜひダウンロードのうえ、問題に挑戦して、理解を深めてみてください。
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<掲載問題>
■過去の国家試験問題 第107回 問299(実務)
■オリジナル国家試験対策問題

まとめ

アイングループでは、東京大学大学院薬学系研究科・育薬学講座と共同して、薬局プレアボイドを継続的に集積し、教育研修や自己研鑽に活用しています。薬物療法や医薬品の知識に加えて、薬局プレアボイドの実例からも学び、気付きを得ることで、幅広い視点と確かな専門性をもって、薬物療法に貢献していきます。
アイングループのコーポレートウェブサイトでは、今回ご紹介した事例以外の薬局プレアボイドもご紹介しています。
薬局プレアボイドについてさらに知りたい方はぜひご覧ください!
>>「アイングループの薬局プレアボイド」はこちら